いじめをする子どもは「いじめられる側にも原因がある」とよく言います。
「場合によってはいじめられる側も悪い」という子どもの意見が実に8割もあるのだそうです。
いじめをする子どもがよく主張する3つの言い訳について、
読売新聞に、平尾潔弁護士(2011年度、第二東京弁護士会子どもの権利に関する委員会委員長)の興味深い記事がありました。
いじめを正当化させないためにも、ぜひたくさんの方に知っていただきたいと思います。
(部分的にまとめて書いています。)
いじめる子どもの3つの典型的な主張には以下のものがあるそうです。
①いじめられる側にも原因がある
②そこまで傷つけるつもりはなかった
③自分は直接いじめていないので関係ない
①について
子どもからすると、人の悪口を言ったり、意地悪をした場合は
「いじめられる側も悪い」ということになるらしいのですが、
悪口を言ったことがない人はいるか?と聞くと誰もが言ったことがあると答えます。
そうなると、誰にでもいじめられる理由があって、
常にいじめが正当化されてしまいます。
②について
どこまで傷つくかはいじめられる側がどう感じるかで決まるのであって、
いじめる側が決めることではありません。
相手が傷つくことを予測できなかった時点でいじめた側には
大きな責任があります。
悪気はなかったなら仕方ない、で済ませると、
さらなるいじめを誘発しかねません。
③について
いじめがあることを知っていたが、自分は直接いじめていないから
責任がない、と考える子どもが多くいます。
しかし、周囲の者こそ、いじめられている子どもに対し
「あなたはひとりぼっちではない。と伝えたり、
話しをじっくり聞くなど果たせる役割は大きいのです。
いじめは当事者のみではなく、傍観者も含めた話し合いの場をもたないと
解決は難しいです。
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平尾氏のこの記事を読んで、全くその通りだと思いました。
「いじめられる側も悪い」という意見は、本当によく聞きます。
でも、相手が気に食わないのなら、深く関わらなければいいだけであって、
相手が嫌がるようなことをわざとする必要はありません。(無視などの行為も含めて)
相手が嫌いだからいじめるという理由が「正しい」わけがありません。
ましてや、いじめをした子どもの親がそんなことを言っているような家庭は、論外です。
自分の子どもが間違ってないと思いたいのはわかりますが、
仮にいじめるにいたった理由があったとしても、
いじめること自体は間違った行為です。
親はその辺を勘違いしてはいけません。
親がいじめを認めていたのでは、子どもがいじめを悪いことだと思わなくなってしまいます。
自分の子どもがもし、いじめをしていることに気づいたら、
子どものためにも、きちんと間違いを指摘してあげるべきなのです。
「そこまで傷つけるつもりはなかった」というのもありがちです。
小学校の低学年などなら、そういうこともあるかもしれませんが、
高学年や中学生以上になってくると、ある程度相手の気持ちを
察することはできるはずです。
いじめはもはや社会的に見ても、もはや
「遊びのつもりだった」「ちょっとふざけただけ」といった言い訳では
すまされないものになっています。
警察だって出てくるんです。
いじめは罪だという意識を持たなければなりません。
「自分は直接いじめてないので関係ない」という主張は
これもまた大きな問題だと思います。
周囲の人がいじめを止められないのは、自分もいじめられるかも
しれないから、という恐怖があるからでしょう。
でも、見て見ぬふりをしていてはいじめ問題はより深刻になるばかりです。
いじめを見た多数のクラスメイトたちが「やめろ!」と言えれば
それが一番いいのですが、それが無理ならば、
せめて先生にいじめがある事実を報告するなど問題解決に向けて
行動できるようになってほしいです。
そのためには学校全体で徹底的にいじめをなくすための人権教育や
対策に取り組んでいくことが重要ですね。
学校や教育委員会はいじめがあった事実を隠すのではなく、
いじめへの取り組みや成功事例などを積極的に公開し
情報交換することでいじめ解決に効果的な方法を構築する必要があるでしょう。
学校側や教育委員会が、いじめの事実を隠したり、
いじめについての調査結果を公開しないのは、
子どもたちがいじめを正当化しようと言い訳する以上に子どもじみていて
愚かな行為だと思います。