デジタル教科書についてのシンポジウム 電子教科書の教育現場への導入賛否両論

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「文字・活字文化の将来とデジタル教科書を考える」というシンポジウムが
文字・活字文化推進機構の主催で開かれたという記事が読売新聞に特集されていました。

パネリストは小説家の林真理子氏、東北大加齢医学研究所教授の川島隆太氏、
明治大教授の斎藤孝氏、東京芸術大客員教授の藤原和博氏です。

いろいろと興味深い意見が交わされていたのですが、
ここで全部は紹介できないので、気になった部分だけピックアップしたいと思います。

<電子書籍のメリット>

  • 楽にたくさんの情報が得られる
  • 算数の計算、漢字の読み取り・書き取り、歴史年表、英単語、理科の知識の反復など繰り返して暗記するものには効果がある
    (実際、数学が不得意な子どもに使用させた際に成績がアップしたという結果がある)
  • 人が教えると感情的になるが、コンピューターは何度間違えても怒らない
  • 算数、英語は差が激しく、その点デジタル教科書なら個人の理解・進度にあわせて学べる
  • 子どもの興味関心を引き出すことができる
<電子書籍のデメリット>
  • 情報が多すぎると表面だけを見て処理したつもりになり思考を膨らまさなくなる可能性がある
  • 特に動画は便利だが脳が働かなくなる
  • 本は手でめくって記憶する(電子書籍にはそれができない)
  • 言語力を高める教材については(紙の)本が現時点では使いやすく勝っている

デジタル教科書の導入については比較的慎重な意見が多いようです。

  • 現状のまま全てで導入すれば国は崩れるだろうな、という予感があります。(川島氏)
  • 教育の場を実験場にしてはいけません。失敗した場合の責任はだれが取るのでしょうか?(斎藤氏)
  • 厳選されていない情報にアクセスできるとすると、検定教科書の存在自体が問われます。(斎藤氏)
  • 教育現場の「これが使いたい」という意見がないまま、電子教科書に予算が付けられ、配られることに危機感を感じています。(林氏)
  • 学校が電子教材を授業で使い、それが自然に広がって、成果が検証されて初めて、導入にむけた議論ができるはずです。子どもに配った後にその使い方を講習するのはおかしい。(斎藤氏)

ただし、全く否定をしているわけではなく、
現場からの要望があれば導入すべき、
本当に良いということであれば使うべき、という意見もありました。

個人的には、教育現場へ電子教科書(デジタル教科書)を導入するのは
簡単にたくさんの情報が得られる分、思考力や言語力の低下、
本当に学んだことが身についているのか心配です。

ただ、計算問題や英単語の暗記などについて、実際に成果が上がっている
ということなので、もっとデータが集まって、本当に有効であると証明されれば
用いてもいいのかもしれません。

林真理子氏が幕末の人物について調べた時、ネットで検索した情報と
大学院生が伝記などから集めた情報とでは、大学院生に集めてもらった情報の
ほうが深く、「人間、楽をすると色々な所が退化するということが分かりました。」と
述べているのですが、それもそうだな・・・と思いますね。

ネットからは検索さえすれば簡単に情報を得ることができます。

一方、いくつもの本を調べてその中から情報を収集するのは手間がかかります。

しかし、ネットで調べるより頭も使いますし、
その調べる過程が記憶としても定着しやすいと思います。

電子書籍と脳・記憶については以前の記事で、東大教授の酒井邦嘉氏の意見を
紹介しましたが、紙の本のほうが記憶の手掛かりが多いのだそうです。
詳しくは↓
http://www.yuyuit211.com/2012/06/18/post-153/

プレジデントファミリーに掲載された子どもの能力アップに紙の本が有効という
記事はこちら↓
http://www.yuyuit211.com/2012/06/23/post-162/

韓国やシンガポールなどではデジタル教科書の普及が進でおり、
米国や英国、豪州デンマークなどでは導入・活用の動きがあるのだとか。

ただ、他の国で導入されたから右にならえと安易に導入するのではなく、
日本は日本でのデータを蓄積し、長い目で見て本当によいのかどうかを
しっかり見極め、導入については慎重であるべきじゃないかと思います。

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このページは、2012年8月 9日 13:52に書いたブログ記事です。

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